arrowsの通話が聞きやすいのはナゼ?開発の取り組みを紹介

通話機能

arrowsシリーズのスマートフォンは、"通話時の聞きやすさ"が 特徴です。その理由は、携帯電話の時代から積み上げてきた音声技術にあります。

現在、多くのスマートフォンは固定電話に比べて4倍もの周波数帯域の音声を送ることができます。話し手の個性、言葉のニュアンス、その場の空気感までも伝えられるのが、現代の"電話"です。

ここからは、arrowsシリーズがこだわる通話音質の改善機能と、その開発の取り組みについてご紹介します。

音声の特徴とメカニズム

arrowsシリーズの聞きやすさの秘密をご紹介する前に、まずは、通話音声の特徴と、発声と音声の認識メカニズムについて説明します。

通話音声の特徴

人が認識できる周波数帯は20Hzから20kHz程度と言われています。

3G回線や固定電話は4kHz程度までが使われており、この範囲であれば一般的な会話の聞き取りには支障ありません。なお、VoLTEやVoLTE(HD+)などの通信規格であれば8kHz以上の周波数を利用できるため、さらに声に広がりや奥行きを感じられます。

人の声には一般的に基本周波数の音とその倍音(整数倍、あるいは非整数倍の振動数を持った音)が含まれています。倍音がどれだけ混ざっているかが、声質を決めているため、高い周波数が再生できることは、声の個性や感情を表現するのに役立ちます。

【声の周波数分布と通話音声帯域】

通話機能 通話音声の特徴

発声と音声の認識メカニズム

発声や音声の認識メカニズムについても見てみましょう。

声は、肺からの空気を声帯で振動させ、声道(せいどう)を通って口や舌を動かして言葉として発せられます。空気圧が大きければ大きな声となり、声帯の動きで声の高さが変わります。声帯で作られた音は声道を通り、その後、口腔や鼻腔を通ることで様々な声として加工され、外部へ音の振動として伝播するというのが、一連の仕組みです。

【発声のメカニズム】

通話機能 発声と音声の認識メカニズム

次に、人が音声を認識するメカニズムです。

人は耳の中にある耳介(じかい)で音波を集め、外耳道でその音を増幅し、中耳にある鼓膜(こまく)を振動させます。すると、鼓膜に付着する耳小骨(じしょうこつ)が振動をテコの原理で数倍にまで増幅し、内耳へと伝えます。内耳には聴覚(聞こえ)をつかさどる蝸牛(かぎゅう)があります。ここにはリンパ液が入っており、耳小骨の振動を受けて揺れます。この揺れを感覚細胞(有毛細胞)が捉えると、電気信号が発生します。最終的に、蝸牛神経へ電気信号が伝わることで音の情報として脳へ運ばれ、脳で「意味のある音」として認識される、というのが一連の流れです。

【音声の認識メカニズム】

通話機能 発声と音声の認識メカニズム

以上の通り、声は、声帯や声道を通って口や舌を動かして言葉として発せられるため、個人ごとに器官の大きさや長さも異なりますし、年齢、体調、感情などによっても声質は変化します。

また、個人ごとに耳(穴)の形も異なりますし、感度や認識性能も変わるため、同じ声を聴いても、人によってその聞きやすさ(聞こえ方)に違いがでます。

個人差がある「聞きやすさ」に幅広く対応

arrowsシリーズでは、先にご説明した個人差があっても「聞こえやすい」スマートフォンを目指した機能を搭載しています。

ゆっくりボイス

言葉を認識するスピードには個人差があります。

たとえば、話し手が早口だと、認識が追いつかないこともあるでしょう。しかし、何度も聞き返すのは相手に失礼と考えて躊躇する方も多いはず。「ゆっくりボイス」は、こうしたシチュエーションでも相手に気を遣わせることなく、言葉を聞き取りやすくすることを目的に開発された機能です。

通話中に「ゆっくりボイス」をONにすると、相手の話すスピードが遅くなり、じっくりと聞き取れるようになります。

仕組みとしては、下の図のように、会話の中で発生する"声を発しない時間(間)"を使い、ひとつひとつのフレーズを少しずつ長めに再生するといったものです。結果として、トータルの時間を大きく変えずに、相手が話した言葉をゆっくり聞くことができます。

通話機能 ゆっくりボイス

ゆっくりボイスの機能は通常時OFFになっており、通話中にONへ切り替えられます。

相手の話すスピードが速すぎると感じた際などに、ぜひご活用ください。

通話機能 ゆっくりボイス

あわせるボイス®(らくらくスマートフォンのみ搭載)

FCNT社のらくらくスマートフォンには、利用者の年齢に応じて話し手の声を聞きやすく補正する機能が搭載されています。「自分からだ設定」に設定した「誕生日」から「年齢」を算出して自動で通話音質を決定しています。

耳の感度は、加齢と共に衰えるのが一般的です。その理由のひとつとして、音を脳に伝える有毛細胞(感覚細胞)や、音を増幅する鼓膜、耳小骨が衰えていくことが挙げられます。ただし、耳の感度が衰えたとしても、音が完全に"聞こえない"わけではありません。

健康診断で行われている聴力検査では、周波数ごとの音が徐々にボリュームを上げる形で再生されます。そして、検査を受ける人が「聞こえた」と感じはじめたときにスイッチを押してもらいます。このときの聞こえ始めの音の大きさで、聴力が低下していないか診断します。別の言い方をすると、聞きにくい周波数の音も、ある程度大きくなれば聞こえるということを意味します。

「あわせるボイス®」は、この原理を利用して、年齢ごとの聞こえにくい周波数の音を強調することで、年齢に伴う"聞きにくさ"を改善します。

通話機能 あわせるボイス®(らくらくスマートフォンのみ搭載)

なお、聞きやすさは、個人差が大きいため、年齢が高くても聞きやすいと感じる方もいますし、その逆もあります。そのような場合は、ユーザ設定にて、手動で聞きやすさ補正の度合いを変更することも可能です。

駅前や交差点…騒音環境下でもしっかり聞こえる工夫

車の音や風切り音、周囲の話し声など、日常には多くの騒音があります。相手の声が周りの騒音と混ざり、かつ騒音のほうが大きくなると言葉の判別ができなくなってしまいます。

スマートフォンは固定電話に比べて平板な形状をしているため、周りの雑音や声を拾いやすく利用者のスマートフォンの持ち方や耳や口の位置などによってもその度合いが変化します。

そこでarrowsシリーズには、騒音環境下でも、相手の声が聞こえやすく、また自分の声も相手に聞こえやすくなる機能が搭載されています。

はっきりボイス

「はっきりボイス」は、周囲の音が大きいときに、相手の声の音量を自動で上げる機能です。スマートフォンは屋内だけでなく、騒音の大きな屋外でも利用されます。周りの騒音が大きいときは、自動で通話先の相手のボリュームを大きくすることで、声が埋もれることを防ぎます。

通話機能 はっきりボイス

騒音というのは、エアコンのように同じ音が鳴り続けるものばかりではなく、街の雑踏やプラットフォームの電車の通過音など。一定でない騒音もたくさんあります。

こうした様々な騒音環境下で、違和感無く聞きやすさを維持できるようにボリュームの調整が行われています。

でかボリューム

「でかボリューム」は、通話の受話ボリュームを8段階にし、周囲騒音量によらずできるだけ大きな通話音量を提供できるようにした機能です。

1~6段階までは、前述した「はっきりボイス」が適応され、ボリューム変更に加え、周囲騒音量の変化に合わせて自動でボリュームアップがなされます。

一方、7〜8段階については固定的にボリュームを最大にアップさせ、"周囲騒音が小さくても"常時大きな通話音で聞くことができるようにしています。

このように、通話ボリュームの各レベルの動作仕様を大きく2つに分けることで、騒音環境下だけでなく、年齢に伴う聞きにくさや、相手の声が小さい場合など、さまざまなシーンで柔軟に対応できるように工夫をしています。

スーパーダブルマイク

周囲の騒音を除去し、通話相手へ自分の声をクリアに伝えるのに役立つのが「スーパーダブルマイク」機能です。

周囲の騒音が混ざった送話音声は聞き取りにくいもの。これを解消するのに、arrowsシリーズでは2つのマイクを利用します。

下の図のように、一方のマイクでは自分の声を主の音として取り込み、他方のマイクでは周囲の騒音を主の音として取り込みます。最終的に、2つの音声を利用して騒音を除去します。

通話機能 スーパーダブルマイク

2つのマイクには、いずれも音声と騒音が入ります。そのため、除去を強くしすぎると、音声も同時に消えてしまうおそれがあります。

一方、除去が弱すぎると、言葉尻など声量が小さくなる部分に雑音が残ってしまいます。最適な調整値を見つけるために、arrowsシリーズの開発チームはさまざまな騒音・環境下での音質評価を行いました。

マスク越しの通話でも聞きやすさを追求

コロナ禍で当たり前になったマスク生活。通話の際にマスクを着用している場面も少なくありません。飲食店のアクリル板も同様ですが、一枚何かを隔てると音声は格段に聞こえにくくなります。こうした問題を解消するために開発された、arrowsシリーズの機能をご紹介します。

通話機能 マスク越しの通話でも聞きやすさを追求

マスク通話モード

話し手がマスクを着用していても、声がこもらずに聞こえやすくするため開発されたのが「マスク通話モード」です。

マスクを着用していると、音声振動が減衰し、声がこもってしまいます。そこでarrowsシリーズでは、さまざまなマスクを通した音声の特性を分析・検証。マスク着用中の通話時でも、肉声に近い状態の音声を再現しました。

通話機能 マスク通話モード
マスクでこもった相手の音声を肉声に近づけ、聞き取りやすい声に補正

なお、話し手がマスクをしていない場合でも違和感がないよう補正が行われるため、「マスク通話モード」がONになったままでも問題なく使用可能です。

マスク通話モードにより、実際どれだけ声が聞き取りやすくなるかについて実際に検証をした「「マスク通話モード」で、どんどんマスクを増やしていくとどうなるか?(あろうず研究所)」の記事もぜひご覧ください。

はっきりマイク

マスクを着けると音声振動が減衰し、声が小さくなります。こうした場合の通話でも、相手に声を大きく伝えてくれるのが「はっきりマイク」機能です。小声から微声(ささやき声)への音量変化に応じ、強調量を段階的に変化させることで、相手にとって聞きやすい音量に変えてくれます。大声や普通声には適応されないため、安心してお使いいただける点もポイントです。

通話機能 はっきりマイク

送話音量を上げる際には、一緒に周りの騒音(ノイズ)も大きくなってしまいます。とくに、小さい声のときはノイズの割合も大きくなります。そこで、前述の「スーパーダブルマイク」機能と組み合わせることで騒音 (ノイズ)を最小限にし、音量アップを図っています。

「誰もが、いつでも聞きやすい通話」をこれからも提供していきます

arrowsシリーズは今後も「誰もが、いつでも聞きやすい」通話音質の改善機能を、お客様に提供し続けていきたいと考えています。年齢と共に相手の声が聞き取りづらくなってしまった方や、外でのお仕事や出先での通話に不便を感じている方。マスク着用のために互いに聞き取りづらくなってしまっている方など。すべてのお客様にとって聞きやすい通話を目指し、さまざまな使用環境での音質評価を行いながら、機能改善に努めます。

➡arrowsの製品サイトをチェックする

※1 「あわせるボイス®」は、富士通株式会社の登録商標です。