arrows MAGAZINE

arrows研究所

arrows研究所 第17回

新製品「arrows Fit F-01H」の開発秘話を聞いてみよう!

こんにちは!arrows研究員のI川です。
どうです?これ。


NTTドコモから発売されたarrows Fit F-01H

見てのとおり、手のおさまりがしっくり。
そう、言うなれば「ちょうどいいサイズ」。
今回は、このF-01Hの開発を担当した影長さんに、根掘り葉掘り取材して、開発秘話を聞かせていただこうかと。どんな話が飛び出すかは、読んでみてのお楽しみ。

arrowsX 開発にかけたユーザーへの思い
(プロジェクト○みたいな・・・。開発に力を注いだ熱~い話なんで)

満を持して登場! 使いやすさで上位機種に引けをとらないミドルレンジ

I川氏:「その手に、その気持ちに、“Fit”するarrows Fit F-01H」。
そもそも、どうしてこの機種を開発することになったんですか?まずはそのあたりから教えていただけますか?

影長氏:大きな背景にあるのは、ここ1、2年でスマートフォンのテクノロジーが成熟期を迎えていることです。これまでは、お客様のニーズにテクノロジーがなかなか追いつかなかったので、
「使いやすいモデル=最新技術を集結させたフラッグシップモデル」
という図式が成り立っていたんです。最近は上位機種でなくても多くのお客様が満足できる商品を提供できるようになっています。もちろん、その中でもさらに上を求めるお客様もいれば、「そこまでいかなくても・・・」という考え方のお客様もいらっしゃいます。そこで、そんなお客様や、スマホのライトユーザー、ガラケーからスマホへの移行に迷っている方などを念頭に、ハイスペックよりもお手頃な価格を重視した機種を開発することにしたんです。


富士通株式会社
ユビキタスビジネス戦略本部
モバイルプロダクト統括部
第一プロダクト部 マネージャー
影長 宜賢氏

求めやすい価格を実現するため、ユーザーの使い勝手から機能を取捨選択

I川氏:なるほど、多機能というよりも使いやすさと価格を重視したということですね。
それも今だからこそ出せると。
スマホにあまり詳しくないユーザーの入門モデルとしてもおすすめですね。
しかし、やはり価格と使いやすさを両立するのはキビシいんじゃありませんか?

影長氏:お客様に「必要にして十分」と感じてもらうために、何を取り入れて、何を入れないか、そのバランスをとるのが難しかったです。お手頃価格だからといって、「安かろう悪かろう」とお客様をガッカリさせるわけにはいかない。そのために基本をしっかりと守ることは譲れなかったのです。我々が開発を進めていく際には、次の3つのポイントを決めました。

1、 見やすい、聞きやすい、サクサク使える~道具としてきちんと機能すること~
2、 外出先などで電池切れを気にせず安心して使える電池持ち
3、 ずっと長く愛用してもらえるように、丈夫であること

これらを守りながら、お求めやすい金額を実現する。あらゆる意味でお客様のニーズにジャスト”フィット”するようなものを作ろうと、開発を進めました。

I川氏:ハードルがかなり高いですね~。1つひとつの機能を吟味し、取捨選択する作業は大変そうですが、皆さんの気持ちの上でもせめぎ合いはあったんじゃないですか?

影長氏:もちろん、ありましたよ。いちばん大きな決断は、ワンセグと赤外線の採用を見送ったことです。フィーチャーフォンを使っている方たちの中では、ワンセグの要望は結構高いんです。でも、ワンセグ機能を搭載しようとすると、コストもサイズも大きく変わってきます。散々悩んで、

「代替え手段のあるものはそちらに任せよう」

と結論に至りました。たとえば、赤外線は機種を替えるときのデータ移行に使われることが多いですが、それはメモリカードを使えばできますよね。ワンセグも、昨今はWEBでテレビの見逃し配信があったり、オンデマンドやYou Tubeがあったり、動画を見る代替えがあります。これらの機能を求める声があることはわかるのですが、そこを見送ってでも手にとりやすい価格を実現し、スマートフォンを使う楽しさを届けられたほうが価値は大きいと判断したんです。

快適な使い心地へのこだわりは、スペックだけでは語れない

I川氏:「性能と価格」のバランスなんですね。
ギリギリのところで判断しながら、ユーザーに快適な使い心地を届けるって大変なんだな~。

影長氏:ただ、ポイントは「基本はしっかり」ですから、快適に使ってもらえるよう様々な工夫もしています。たとえば、F-01Hのディスプレイは5インチのHDです。スペックだけ聞くと、ちょっと時代遅れな印象があるかもしれません。でも有機ELディスプレイを採用したことで、HDとは思えないほど画面が美しいんです。そのお陰で、見た目の画面の美しさは「ハイスペック機種と肩を並べられる」と考えています。スペックでは語れない「本質の良さ」があるんですよ、このF-01Hには。

I川氏:そうなんですね。そういう選択で快適性を実現していくということなんですね。

影長氏:ハイスペックなデバイスを使わないほうがコストは下げられるけれど、それで使い心地が悪くなるのは本末転倒。指紋認証やバッテリーについても考え方は同様です。たとえばロック解除もパスワードを入力すればできますが、お客様にとってはちょっと不便。快適に使うなら、指紋認証は付けるべきだと判断しました。また、2つ目のポイントにもありました電池持ちも、大きなバッテリーを搭載すれば電池の持ちはよくなるけれど、その分本体に厚みが出できます。「ベストバランス」はどこか、徹底的にシミュレーションし割り出した結果が、この採用されたバッテリーと省電力機能でした。

I川氏:開発に携わった皆さんのこだわりがありすぎて、胸が苦しくなってきました。ところで、画面も美しいですが、本体のデザインも美しいですよね。持ちやすいし。

影長氏:実は、この幅69ミリというのも、大きなこだわりの1つなんです。当社のターゲットユーザーを対象にした調査では、本体の幅が70ミリを超えると、画面は大きいけど、ちょっと手に余るサイズという意見が多く目立ちました。いかに、70ミリ以下に抑えるかというのも、苦労した点です。ボディはできるだけ細く、でも画面はできるだけ大きく。そこに当社の狭額縁の技術が生かされ、このデザインが実現しています。

見えない部分にもこだわる、思いやり設計

I川氏:しかも、3つ目のポイントの通り、この美しいデザインを長持ちさせるわけですよね?

影長氏:そうですね。そこも苦労しました。例えば、落としたときにガラス面が地面に直接当たらないように、縁を少しだけリ高くしています。この微妙な「凸」も、高くすればするほど、画面が割れる可能性は下がるのですが、デザイン性が悪くなってしまったり、使い勝手が悪くなってしまうので、そのちょうどいいところがこのポコッとした縁なんです。

I川氏:確かに、スマホをうっかり落とすことってあります。バリバリに割れたガラスでも、契約期間満了まで使いつづけなくちゃいけなくて、使うたびにがっかりしている人、知ってます。

影長氏:「落としたのはお客様の責任」ではなくて、落としても「壊れにくい」ようしておく。これもお客様のことを考えた基本部分ですよね。このほか、ボディには耐傷性の高いウルトラタフガード、ガラスは強度の高いゴリラガラスを採用しています。もちろん中身も、ハイスペックと同じMIL規格の14項目に対応。普段使いをしている分には壊れにくいようにしてます。

I川氏:こうやってうかがうと、本当にいろいろ手を尽くしていること判ります。ユーザーはなかなか気づかないかもしれませんが・・・。

影長氏:極端な話ですが、お客様はわからなくてもいいんです。ただ、購入されて、知らず知らずに使いやすいな、買ってよかったなと思っていただくには、こうした見えない技術や配慮が大切だと思ってます。スマートフォンは「家に飾るものじゃなくて、外で使うもの」だから「いかにきれいに愛着をもって使ってもらえるか?」が大切なんだと考えています。

総評

開発する皆さんの細やかな心配りに感心しきりでした。これからは、もっと大事にスマートフォンを使おうっと。影長さん、ありがとうございました!