arrows MAGAZINE

arrows研究所

arrows研究所 第19回

新製品「arrows NX F-02H」のウラ話を聞いちゃった!

どうも。arrows研究員のI川です。
第17回に続き今回は、arrows NX F-02Hについて、いろいろ探ってみようと思います。

arrows NXシリーズといえばハイスペックなスマートフォンじゃないですか。ひょっとして今回はマイナーチェンジで終わりじゃないの? と、ちょっと疑ってかかっていたんですが、いやいや、それで終わるようなarrows NX F-02Hであるはずはないのです。

今回は、arrows NX F-02H開発に携わった山田さんに、たっぷりヒアリング。
超いい話が聞けてます!

arrowsX 開発にかけたユーザーへの思い

お客様ニーズに先回りして「心地よさ」をお届け!

I川氏:まず最初に今回の開発の経緯から教えていただけますか?

山田氏:スマートフォンの性能は急速に進化していて、現状のままでもお客様の満足度はかなり高いんですよね。そんな中でさらに興味を持っていただくにはどうすればいいのか。僕らとしても、富士通の先進的なテクノロジーを駆使して、お客様に今以上の心地よさを届けたいという強い思いで開発にあたりました。


富士通株式会社
ユビキタスビジネス戦略本部
モバイルプロダクト統括部
第二プロダクト部 マネージャー
山田 竜太郎氏

I川氏:スマートフォン市場のコモデティ化が言われる時代。開発は厳しいですよね。

山田氏:お客様アンケートで見えてくるようなニーズに応えるだけでは不十分なんです。日常の中からお客様の困りごとを、我々のほうから探し出して解決する。それが今後の商品企画に求められている部分だと思っています。

I川氏:山田さんたちの気づきが、開発のヒントになっていくと。

山田氏:ただスペックを上げればいい、カメラの画素数やCPUを上げればいいということだけでなく、「こうあったほうが心地いい」という気づきを開発に役立てていくことも重要だと思っています。

I川氏:お客様のニーズに先回りするってことですか?

山田氏:そうですね。ただ、そのためには僕らもスキルアップしないと。
氷山の一角に見えているものではなく、その下にあるお客様ニーズの本質を見抜けるように、感度を磨いていかなければいけません。

各部門の力を結集して、「一瞬の感動」を実現

I川氏:今回のarrows NX F-02Hの特徴を具体的に聞かせてもらえますか?

山田氏:ひとつは「一瞬」で使える心地よさです。
たとえば、2015年の夏モデルから虹彩認証を採用していますが、今回は、より自然に使っていただけるように、認証カメラの位置を少し中央に寄せています。

I川氏:確かにこの位置だとカメラが両目を捉えやすいですね。

山田氏:そうなんです。こうしたちょっとした位置のチューニングでも、使い心地を追求していきます。

I川氏:カメラ機能も新しくなっていますよね? 高速ハイブリッドオートフォーカスって、これまでと何が変わったんですか?

山田氏:これまでのカメラは、ピント合わせの「正確さ」に優位性のある技術(コントラストオートフォーカス)を採用し、正確性を求めていましたが、今回は、この機能にピント合わせの「速さ」に優位性のある技術(位相差オートフォーカス)を組み合わせることで、より速く、正確にピントが合うようになりました。その速さ、0.1秒です。

I川氏:0.1秒ですか~それは速い! ほんとに一瞬ですね。

山田氏:ここに行き着くには、結構苦労がありました。
「一瞬と呼べるオートフォーカスの速さはどれくらいだろう」という議論から始まって、0.3秒 0.2秒いや、そんなんじゃダメでしょ! みたいな(笑)。
開発部門もがんばってくれて、この速さが実現できました。
でも、ここで満足しているわけではないですよ。将来は0.1秒を切りたいですし、可能な限り追い込んでいきます。

I川氏:ほかにはどんな「一瞬」が実現したんです?

山田氏:これまでも搭載されているTransfer Jet(トランスファージェット)を、もっと日常的に使っていただきたいと考えました。
arrows NX F-02Hとほぼ同時期に発売される、東芝製のレコーダーや、バッファロー製のTransfer Jet(トランスファージェット)アダプターを利用すると、アダプターにarrows NX F-02H本体をかざすだけで、映画やドラマなどの録画したテレビ番組を高画質なまま高速で転送できるんですよ。

I川氏:それは便利ですね~。

山田氏:スマートフォンの基本機能の進化も重要ですが、他の機器と連携した新しい使い方も、積極的に創造していきたい部分だと思います。

「外見はスマート、中身はタフなツワモノ」がNX流

山田氏:それから、「一瞬」と並んで今回のキーワードになっているのが「安心」です。
購入したときはどのスマートフォンもキレイでかっこいいのですが、使っていくうちにだんだん汚れたり、壊れたりします。ボロボロになっていく残念感を感じている人は多いと思うんです。
だからこそできるだけ永く、美しいまま使っていただけるような工夫をしています。

I川氏:具体的にはどんな部分ですか?

山田氏:特に傷つきやすい金属素材を使用しているトップや電源ボタンには、傷や摩擦に強いハードアルマイト処理を施しました。
これはレース用バイクのブレーキや釣りのリールなどに利用される技術で、これによって今まで以上に大きな傷がつきにくくなりました。

I川氏:本体も少し薄くなった印象がありますね。

山田氏:気づいていただけましたか? 7.9ミリの薄さになりました。
背面を薄くするためにいろいろな素材を探し、見つけたのが『ナノテクファイバー素材』でした。航空機の胴体と翼の接合部にも使われている繊維素材で、厚みは薄いけれど強度がとても高いんです。

I川氏:背面の織り目の表情がいいですよね。織り方でも強度は変わるんですか?

山田氏:変わりますね。今回の織り方に決まるまでには、何十というパターンを試しました。機構設計部門とデザイン部門中心にトライ&エラーを繰り返して、数ヶ月かけてようやく薄さと強度、そしてデザイン性を全て兼ね備えたものができたときには、うれしかったですね。

I川氏:丈夫といえば、MIL規格にも準拠していますよね?

山田氏:堅牢性、耐久性が高いことが、お客様にわかりやすく伝わるように、MIL規格に準拠させてもらいました。
ただ、丈夫というとタフネス系のモデルをイメージされてしまうかもしれませんが、我々が目指すのは、あくまでもスタイリッシュでタフなモデルなんです。
日常で便利に、スマートに使っていただきながら、でも実は強くて丈夫、だから安心して使っていただけることを重視しています。

I川氏:外見はスマート、内側には芯の通ったタフさのあるツワモノですね~。

「富士通だから、ここまでやる」。そのこだわりを忘れない

I川氏:あの、せっかくの機会なんでお聞きしますが、アンテナの先端部分って、引っ張ると取れそうで心配なんですよね。

山田氏:見ていただくとわかるんですが、今回はアンテナと先端の部品を互いにかませてあるんです。上に引っ張っただけでスポッと部品が取れる心配はありません。こういった部分も進化しています。

I川氏:他社のスマートフォンには、アンテナのついていないものも多いですよね?

山田氏:開発を始めるときに、「他社がやってないんだから、我々もやらなくていいんじゃないの?」という意見はいろいろ出てきますが、そういう中でも「僕らは意志を持ってやめない」という部分もあるんです。TV/FMトランスミッタアンテナもその1つ。僕らは絶対に付けます。
付属のアンテナを取り付けて見て頂くとなると、毎回アンテナを持ち歩かなければならならず、忘れてしまったら必要なときにテレビが見られない。そんなの嫌じゃないですか。だから私たちのポリシーとしてつけ続けているんです。
実は、お客様がarrows NXシリーズを選んでくださる理由の中で、こうしたところのスコアはかなり高いんです。せっかく僕らを選んでくれるお客様ですから、できるだけ要望には応えていきたいと思います。ほかにも、小さなこだわりはいろいろありますよ。サイドキーも普通は平らなものをカーブさせて押しやすくしたり、SIMとmicroSDカードの場所を別にしたり。

I川氏:1つひとつが心地よさへの配慮なんですね。

山田氏:電池持ちや操作感など、お話しすればまだまだありますが、これからも「先進のテクノロジーを駆使して最高の心地良さを提供し続ける」という僕らの姿勢は、これからも変わることはありません。

総評

普段何気なく使っている機能も、開発の現場では多くの人の苦労があるわけですね。そうした努力の積み重ねが最新のテクノロジーを生み出し、それを自分たちが享受していると思うと感慨深かったです。山田さん、マイナーチェンジなどと考えていて、すいませんでした!