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arrowsマニア情報局 第16回

「arrows NX F-02H」はスペックダウン!? ベンチマークを取ってみたら意外な結果に……

arrows @をご覧の皆様、「せう」です。こんにちは。2015年もあと半月を切りました。今回の情報局が、年内最終掲載、ということになります。


やっと発売!「arrows NX F-02H」

年内最後、ということで、ついに発売した「arrows NX F-02H」(以下、F-02H)、「arrowsジャーナリスト」という他称を持つ自分としては入手不可避、ということでWhiteを入手しました!

F-02H、2015年冬モデルのarrowsスマホのフラッグシップ(一番ハイスペックな)機種なのですが、実はちょっと「気になる点」もあるんですよね……。そこで、「マニア情報局」という名に恥じぬよう、ここは富士通のオウンドメディアであることをあえて忘れてマニアックに確認してみようと思います。

F-02Hは、Qualcomm(クアルコム)の「Snapdragon 808」というSoCを搭載しています。「SoC」っていうのは、「System on Chip」の略で、コンピューターの頭脳にあたる「CPU」や画面表示に必要な「GPU」など、コンピューターを構成するために必要な部位をひとつのチップにまとめてしまったものです。

実は、2015年夏モデルの「ARROWS NX F-04G」では、同じQualcommの「Snapdragon 810」というSoCを搭載しています。「同じシリーズのCPU(SoC)なら、数字が多い方が性能はいい」という法則に従うと、F-02HはF-04GよりSoCが「スペックダウン」している、ということになります。

実は、それは正解で、最新モデルであるはずのF-02Hは、旧機種よりもスペックダウンしてしまっているのです。次の表で主な仕様をちょっとチェックしてみましょう。

  Snapdragon 808(F-02H) Snapdragon 810(F-04G)
CPU Cortex A57コア×2(最大1.8GHz)
Cortex A53コア×4(最大1.4GHz)
Cortex A57コア×4(最大2.0GHz)
Cortex A53コア×4(最大1.5GHz)
GPU Adreno 418 Adreno 430
画面出力(内蔵) WQHD(2560×1440ドット)まで 4K(3840×2160ドット)まで
画面出力(外部) HDMI:4Kまで(最大30フレーム/秒)
Miracast:フルHD(1920×1080ドット)まで
HDMI:4Kまで(最大30フレーム/秒)
Miracast:フルHD(1920×1080ドット)まで
システムメモリー LPDDR3 LPDDR4
通信 モバイル:LTE Category 9まで対応
無線LAN:IEEE 802.11ac
(MU-MIMOで最大866Mbps)
モバイル:LTE Category 9まで対応
無線LAN:IEEE 802.11ac
(MU-MIMOで最大866Mbps)

赤字で示した部分が、スペックダウンしている部分です。CPUだけではなく、GPUやメモリーのスペックも下がっています。内蔵画面は両者ともにWQHDですから、画面出力面ではF-04Gのほうがオーバースペック気味ということになります。しかし、しかしですよ。肝心なCPUの性能(周波数だけではなく、コア数まで!)やシステムメモリーの対応規格の違い(と、そこから来るアクセススピードの差)が意外と大きな差となりそうです。

そこで、ベンチマークテストをしてみました。F-04GとF-02Hは、極力ハードウェア以外の違いをなくした状態にしていますが、OSのバージョン(F-04Gが5.0.2、F-02Hが5.1.1)など、ソフトウェア面にどうしても違いがある、という前提で見てみて下さい。

今回は、Android端末では定番中の定番の「Antutu Benchmark」の出たばかりの最新版、バージョン6.0を使ってベンチマークテストを取ってみました。すると…


F-02H(左)の方がF-04G(右)よりも全体値が良好……!

何と、「スペックダウン」したはずのF-02Hの方がベンチマークの全体結果が良好なのです。良く見ると、3D描画性能はF-04Gの方が良好なのですが、それ以外の全ての項目がF-02Hの方が良いのです。CPUやメモリーもF-04Gの方が性能良いはずなのですが……。恐らく、F-02Hはハードウェア・ソフトウェア両面でチューニングが非常に良くできているのでしょう。実際使っていても、F-02Hの方がいろいろな面で(微妙な差ではありますが)サクサクです。


他社のAndroidスマホでの結果。左がSnapdragon 808、右がSnapdragon 810搭載機

念には念を、ということで、F-02H・F-04Gとそれぞれ同じSoCを採用した他社のAndroidスマホ(たぶん、通知バーやナビゲーションバーでどこのメーカーか分かる人もと思いますが)でもベンチマークを取ってみました。

Snapdragon 808を使った方を見ると、F-02Hのチューニングがいかによくできているか良く分かります。使ってサクサクなのも当然です。

一方で、他社スマホ2機種(とくにSnapdragon 810を使った方)と比べると、F-04Gは「実力」を発揮しきれていないのではないか、という思いが……。今後、ソフトウェア更新で何とか「実力」を発揮できる方向に調整できれば「ああ、買って良かった」感が強まると思うので、富士通には期待を禁じ得ません(チラチラ

ということで、今年のマニア情報局は、これでおしまいです。来年もよろしくお願いします!