arrows MAGAZINE

arrowsマニア情報局

2017.11.24 Fri

arrowsマニア情報局 第101回

新しいarrowsはどれに対応? Androidスマホの「急速充電」あれこれ(その1)

arrows @をご覧の皆様、「せう」です。急激に寒くなりました。冬が近づいてきています。体調管理には気を付けたいものです。


新しいドコモのarrowsで使えるNTTドコモ純正の「ACアダプタ 06」

さて、ここ数回の情報局で触れている通り、「arrows NX F-01K」「arrows Tab F-02K」は、arrowsとしては初めて「USB Type-C」に対応しています。そのため、従来のMicro B端子用のUSBケーブルや充電器をそのまま使うことができません。Micro B to Type-C変換アダプターを使えば流用できますが、人によっては買い換えを機に新しいケーブルや充電器を買おうと考えいるかもしれません。

充電器を買い換える場合、充電器が対応している「急速充電」規格がarrowsに合致しないと急速充電できない恐れがあります。今回は、スマホで使える急速充電規格について簡単にまとめます。

USBの標準給電規格:最大でも「5V/0.9A」

前回も触れた通り、USB規格には「通信規格」「端子形状規格」「電源供給規格」が内包されています。

このうち、電源供給規格は若干ややこしい面があり、通信規格と連動する標準規格と、充電用に拡張した規格が並立しています。まず、通信規格と連動した標準規格の上限電圧・電流量(ハイパワーデバイス用給電能力)は以下の通りです。

規格名 電圧 電流 電力
USB 1.0~2.0 5V 500mA(0.5A) 2.5W
USB 3.0~ 5V 900mA(0.9A) 4.5W

ということで、特にUSB 2.0までの給電能力は非常に貧弱です。USB 2.0対応のHDDや光学ドライブでAタイプ端子が2股になっているケーブルが付属しているものがあったのは、この給電能力の低さを補うためです。USB 3.0以降は改善されているものの、それでもスマホの「急速充電」を考えると若干足りないかもしれません。

USBの上限電流量を拡張した「USB BC」

「これじゃあ充電が追いつかないよ!」という声に応えて最初に登場したのが、「USB Battery Charging Specification(USB BC)」です。USB 2.0の拡張規格として登場し、名前の通りモバイルデバイスのバッテリーの充電速度を上げる目的で開発されました。

この規格に対応した機器では、最大5A/1.5A(7.5W)の給電・受電が可能です。ただし、データ通信も行う場合、給電能力が最大5A/0.9A(4.5W)に制限されます。

さらに給電能力をアップした「USB PD」


左から「USB 2.0」「USB 3.1 Generation 1(USB 3.0)」「USB 3.1 Generation 2」と「USB PD」に対応していることを示すロゴ

しかし、USB BCでも「電力が足りない!!」「もっと早く充電したい!!」という声が出てきました。また、、「充電にとどまらず、消費電力量の多いデバイス(ノートパソコンなど)でもUSB給電を使いたい!」というニーズが高まってきました。そんな両方の声に応えるために登場したのが、「USB Power Delivery(USB PD)」です。

USB PDは2012年に規格が確定。USB 3.1とUSB Type-Cの正式リリースに合わせて、2014年にUSB Type-Cにも対応した「Revision 2.0」へと改定されました。最新規格は「Revision 2.0 Version 1.3」と、Aタイプ・BタイプのUSB端子でのPDサポートをカットした(≒USB Type-C専用規格となった)「Revision 3.0」です。かなりややこしいですね(((

USB PD対応機器は、「給電する機器」と「給電される機器」が通信をすることで供給電力を調整できる上、給電する機器と給電される機器の入れ替え(スワップ)デイジーチェーン(数珠つなぎ)給電も可能です。

USB PD Revision 2.0/3.0には、電源供給に関する「Power Rules(パワールール)」があります。Power Rulesは「出力(電力量)」と「電圧」でクラス分けされ、出力に応じてサポート必須の電圧が以下の通り定められています(表の「OP」はオプション)。

  ~15W ~27W ~45W ~60W ~100W
5V 対応必須(最高3A)
9V OP 対応必須(最大3A)
12V OP 対応必須(最大3A)
20V OP 対応必須(最大3A) 対応必須(最大5A)

この表を見ると分かりますが、どの出力でも、「15W(5V/3A)」への対応が必須となっています。これは通常のUSB Type-C機器の上限電力量です。

……と、実はUSB Type-C端子は「端子の形状の規格」でありがなら実は“通常時”の最大電流量が拡張されていたのです(電圧は5Vで据え置き)。USB PD対応機器では、機器間通信をしてより高い電圧・電流で給電を許可された時のみ5V/3A以上の電源供給を行うことで安全性を高めています。

なお、上の表の「~100W」のクラスでは、機器だけではなく電源を通すケーブル側も対応が必須です。万が一、「~100W」対応の電源と機器を用意したとしても、ケーブルが非対応の場合は電流が最大3Aまでに制限されます。

新しいarrowsはUSB PDに対応 が……!!


F-01KとF-02KはUSB PD対応!

今回紹介した充電規格のうち、F-01KとF-02KはUSB PDに対応しています。USB PDの給電に対応するパソコンや充電器(ACアダプターやモバイルバッテリー)を用意すると、より高速に充電できます。

……と、実はF-01KとF-02Kは“もう1つ”対応している急速充電規格があります。今回は文章が長くなりすぎたので、次回ご紹介します。