arrows MAGAZINE

2020.04.03 Fri

arrowsマニア情報局 第203回

正式発表!「arrows 5G」にまつわる用語をいろいろチェック

arrows lifeをご覧の皆様、「せう」です。ここ数年、冬に風邪を引くと、その後に「咳ぜんそく」が続いてしまう状況が続いています……。このご時世なので、咳が出るだけでも大変な感じで、ちょっと困ってしまっています……orz


約5年ぶりのハイスペックモデルですよ!!!!!

前回もチラっと言った通り、2020年6月下旬以降に「arrows 5G F-51A」が発売されることになりました。

arrowsスマートフォンとしては5年ぶりのハイスペックモデルということで、ドコモの5Gスマホにおいて隠れた(?)注目機種の1つとなっているF-51A。第199回で5Gとは何ぞやということは紹介していますが、F-51Aを語る上で重要なキーワードを今回から数回に分けて紹介していきます。

今回は、ドコモの5GスマホでもF-51Aを含め2機種しか対応していない「ミリ波」について紹介していきます。

ミリ波=波長がミリ単位(10mm以下)の電波


電波の周波数帯と特性(出典:総務省

「ミリ波」は、その名の通り「波長が10mm(1cm)以下になっている電波」のことで、周波数帯でいうと30GHz以上300GHz以下の帯域を指します。英語では「mmWave(mmW)」とか「EHF(Extra High Frequency)」とか呼ばれることがあります。5Gに関するちょっと詳しめの解説書だと、mmWaveと書かれることが多いようです。

電波は、周波数が高くなるほど直進性が強まりますが、伝送容量を大きく取りやすいという特徴があります。従来の携帯電話では、移動しながら使う際の利便性を考慮して「極超短波(UHF)」に分類される700MHz~2.1GHz帯の電波を利用してきました(UHFは地上波デジタルテレビ放送や2.4GHz帯のWi-Fi/Bluetoothなどにも使われています)。

しかし、UHF帯を5Gに使おうとすると、以下の問題が生じます。

  • 伝送容量を大きくしづらい(他用途で使われてもいるため)
  • LTE(4G)や3Gで使っている電波の帯域を削減しないと増速しづらい

そこで、5Gでは過去世代の携帯電話では利用が少なめの3~5GHz帯の電波(「マイクロ波(SHF)」の一部)や、30GHz帯付近のミリ波から利用する前提で準備が進められました。日本でも、5Gの利用帯域として割り当てられたのは、携帯電話では使われていなかった3.7GHz帯(※1)と4.5GHz帯のマイクロ波と、28GHz帯の(ほぼ)ミリ波からとなっています。

(※1)
3.4GHz~4.2GHzの帯域は、宇宙無線通信、つまり人工衛星との通信でも使われています。この帯域は海外の国・地域がいわゆる「国際放送」(自国外に向けた放送)をするために使っていることが多く、同帯域を用いる5G基地局が近くに設置されると、衛星を介して国際放送を受信できなくなることがあります

ちなみに、3.4GHz帯は国内においてLTE用として割り当てられていて、一部の地上無線通信とも干渉します。同帯域については、割り当てを受けたNTTドコモとソフトバンクが共同で「引っ越し」をするための措置を進めています。

ミリ波は特性ゆえに“ピンポイント”になりそう


28GHz帯は5Gの「超高速・超大容量」のキーだが……(出典:NTTドコモ

5Gにおいて初期に使われる帯域のうち、「ミリ波」と位置づけられる28GHz帯は利用に当たって整理すべき用途はほぼありません。そのため、5Gの高速・大容量を実現するための帯域として使いやすいです。

しかし、先ほども言った通り、電波は帯域が高いほど直進性が強まります。「直進性が強い」というのは、言い換えると、わずかな障害物でも遮られてしまうということです。究極的に直進性が強い波としては「光波」、つまり光があります。光って、遮りやすいですよね。わずかな隙間から光が漏れることがありますが、そのわずかな「漏れ」しか届かないわけです。

これと同様のことが、ミリ波の電波でも発生します。ミリ波は今までにない高速・大容量を実現するために不可欠なのですが、従来の携帯電話とは比較にならないほど、障害物による遮蔽(しゃへい)の影響を受けやすいのです。

そのため、ミリ波のエリアは「スタジアムの観客席」「劇場の観覧席」といった、立ち止まってスマホをいじれる場所(≒遮蔽物がほぼゼロで、移動しなくても済む場所)がメインになりそうです(※2)。

とはいえ、繰り返しですが、5Gの特徴を体感しやすいのはミリ波のエリアであるのも事実ではあります。ピンポイント以上に広がってくれると個人的にはうれしいのですが……。

(※2)
海外(特にアメリカ)では、固定インターネット回線の代替として5Gサービスがスタートしました。このような用途では、屋外に固定アンテナを設置することが多いため、ミリ波でエリア化しても問題は少ないです。日本でも、固定回線代替のニーズが高まれば、屋外のミリ波エリアが広まるかもしれません。