arrows MAGAZINE

2020.08.28 Fri

arrowsマニア情報局 第221回

ついに発売!「arrows 5G F-51A」の“arrows初”を探ろう!(その3)

arrows lifeをご覧の皆様、「せう」です。実は、自分の「arrows 5G F-51A」が故障し、修理に出していました……。 無事、修理から戻ってきてバッチリ動作しています。


5Gの息吹を感じています!!

「arrows初」という観点から前々回前回のいろいろな面を見てきている所ですが、今回と次回は「通信」という観点からチェックしていきます。今回は、肝心要な「5G」について見ていきます。

一部、以前の連載と被る部分もあるかもしれませんが、お付き合いください。

5G通信に対応 スマホでは貴重な「ミリ波」もOK


F-51Aは「Band n257」(ミリ波)にも対応

F-51Aは、5G(第5世代移動通信システム)に対応しています。5Gの通信規格である「5G NR(5G New Radio)では、周波数帯の整理番号(Band/バンド)を「n+数字」で表します。従来のLTE(4G)やW-CDMA(3G)と同じ周波数帯を使っている場合は、整理番号の数字は一致します。

F-51Aが対応する5G用Bandは、「Band n78」「Band n79」「Band n257」の3つ。いずれも5Gで新たに割り当てられることになった周波数帯です。

Band n78/n79は「Sub-6(サブシックス)」と呼ばれる、6GHz帯以下の電波を用います。Sub-6は、「速度よりもエリア」をカバーする役割を期待されています。

一方、Band n257は「ミリ波(mmWave)」という、従来は移動体通信では使われなかった30GHz前後の帯域を使います。ドコモの5Gスマホでは、F-51Aを含め3機種(うち1機種はルーター)のみ対応します(※1)。F-51Aは、現時点において貴重な「ミリ波対応スマホ」です。

(※1)3機種共に、8月25日現在は対応していません。今後配信されるソフトウェア更新によって対応する予定です。

5Gって強い?


5Gエリアだと下り1Gbps超が出やすいですが……

以前の連載でも取り上げましたが、5Gは「高速大容量」「超低遅延」「超多接続」の3つの特徴を持っています。現在のネットワーク構成は「NSA」(※2)と呼ばれており、3つの特徴のうち「高速大容量」のみ生かせるような状況です。

先の注釈にある通り、F-51Aは現時点においてミリ波を使えないため、理論値ベースで下り3.4Gbps(約425MB/秒)。上り182Mbps(約22.75MB/秒)の通信に対応します。実際に5Gエリアに行って通信スピードテストをやると、LTEエリアではめったに出ない下り1Gbps以上をバンバン記録します。遅くても、数百Mbpsは確実に出ます。隔世の感があります。

(※2)5Gのネットワーク構成
5G NRのネットワーク構成には大きく「NSA」と「SA」の2種類があります。

  • NSA(Non-Standalone)
    通信制御(端末と基地局とのひも付け)においてLTE用の設備を利用します。5Gエリアにおけるデータ通信は5G通信を使いますが、LTEの信号も欠かせません。5Gエリアを迅速に広げることができることがメリットですが、オーバーヘッド(余計な処理)が挟まるため、5Gの「超低遅延」「超多接続」を実現しづらくなります。
  • SA(Standalone)
    通信制御も5G通信で行います。LTEネットワークに依存しないという意味で「Standalone(独立)」と名付けられています。余計な通信がなくなるため、5Gの「超低遅延」「超多接続」のメリットを発揮できるようになります。超低遅延については、他にも実現に向けて解決すべき課題があるのですが、ここでは説明を割愛します……。

エリアは「ピンポイント」

しかし今の所、5Gエリアは「ピンポイント」で、特定の場所に行かないと使えません。LTEや3G(W-CDMA)のようにエリアをきちんとマップで見られるようになるまでにはもう少し時間がかかりそうです。

5Gの表示があっても5Gで通信できない?


「5G」ピクトなのに、検出した通信モードは「LTE」?

先にもある通り、現状の5GはNSA構成のネットワークです。確かに5Gエリアでの通信速度は高速なのですが、端末のアンテナピクト(通信状況表示)に「5G」と出ているのに通信を始めた途端に「4G+」表示になってしまうことがあります

これは、NSA構成のネットワークにおける仕様で、5G通信できる“可能性がある”エリアでは「5G」表示となるためです。「え、可能性で表示が出ちゃうの?」と思うかもしれませんが、見方を変えれば「5G表示が出ていれば近所で5Gのウェーブを浴びられる」ということでもあります。

一応、Androidの通信テストアプリの多くでは、テスト開始時点での通信モードを表示できるようなので、そちらを参考にして「ここは5Gの電波が入るところなんだな」と判別すればいいと思います。

SA構成のネットワークに切り替われば、このような問題は解決しますが……。